ゴルフスイングの精度を向上するワードとして不可欠なハンドファースト。
ゴルフを始めたばかりのゴルファーでも1度は聞いたことがあるでしょう。
ハンドファーストを簡単に言うと、クラブヘッドよりグリップを握っている手元がターゲット方向に先行している形でインパクトすること。
本記事では100切目標を目ざすゴルフ初心者に向けてハンドファーストの正しいインパクトをマスターするための方法を解説します。
正しいハンドファーストのインパクトを手に入れると、方向性や飛距離が安定しショットの精度が劇的に向上します。
しかしハンドファーストをマスターするには、ハードルが高く安易ではありません。
本記事を一読していただき、自分なりに正しいハンドファーストのインパクトをマスターするコツをつかんでくれたら幸いです。
ハンドファーストをマスターする練習ドリルで、自分なりにコツをつかみましょう。
ハンドファーストとは?
ハンドファーストとは簡単に言うと、インパクトのときに手元の位置がクラブヘッドよりも、ターゲット方向でボールに当たること。
後述で説明しますが、アイアンのロフトは立った状態でインパクトを迎えるとさまざまなメリットがあります。
アベレージゴルファーにハンドファーストを実践してもらうと、正しいハンドファーストになっていない場合が大半。
正しいハンドファーストは、ボールをとらえる瞬間のインパクトで以下の5つの動作をします。
ハンドファーストになるインパクト
- 体重が左足に乗る
- 腰を左回転させる
- クラブフェイスをスクエアに保つ
- 左手の甲をクラブヘッドよりターゲットに向ける
- グリップエンドが体の左側をさす
アイアンだけでなくドライバーやウッドもショットのときは、ハンドファーストでボールをとらえる意識が必要。ドライバーに限っては、ティーアップするため、ハンドファーストの度合いが弱くなります。
ハンドファーストは、バックスイングでためたエネルギーを効率よくボールに伝達する役目です。
反対にハンドファーストの逆はハンドレート。
ハンドレートでは、ロフトが寝て当たるため、ロフト角通りの距離が出なくボールの曲がる原因です。
ハンドファーストの5つのメリット
アプローチを抜かして、ショットでハンドファーストのデメリットは見つかりません。
正しいハンドファーストのインパクトをマスターすると、劇的にショットの精度が上がります。
ボールがつかまる
ハンドファーストのインパクトになると、スイングが必然的にインサイド軌道です。
ボールがフック回転になりつかまりやすくなります。
ボールに強い圧力をかけられ飛距離が伸びる
ハンドファーストでボールをとらえることは、クラブのロフトが立った状態でインパクトすること。
9番アイアンで打っているのに、7番や8番アイアンのインパクトロフトでボールをとらえます。
クラブロフトを立てて打てると、飛距離が伸びてボールに強い圧力がかけられます。
ボールのすくい打ち要素を排除し、ハンドファーストのダウンブローでクラブヘッドが降りてくることが前提です。
ダルリやトップのミスが減る
ダフリとトップが出る原因は、手首の角度がほどけるからです。
ボールの手前をダフったり、前傾角度が崩れてトップになったりします。
インパクトでハンドファーストの形を保てれば、そもそもダフリやトップ自体のミスが軽減しミート率が向上します。
ショットの距離感や方向性が安定する
ハンドファーストのインパクトは、バックスイングでためた力を効率よくボールに伝えられます。
インパクトが点でなく、長いインパクトゾーンを作ることが可能。インパクトにかけて適性な入射角度でクラブヘッドが入り、ボールをダウンブローにとらえます。
ハンドファーストのインパクトは、距離感が安定し方向性の精度も上がります。しかしインパクトゾーンが短くなるのは、クラブを手だけでリフトするなどバックスイングに問題があり、ハンドファーストにはなりません。
テイクバックの切り返しで、上半身や腕などの力感が抜け、曲率半径を大きくするイメージでスイングすればインパクトゾーンが長くなりハンドファーストに近づきます。
インパクトゾーンが長いことは、インパクト時にフェイスのスクエア状態も長くなります。
つまりインパクトゾーンの長さは、ミスショットを軽減してくれます。ハンドファーストになることで、長いインパクゾーンになりボールの方向性も安定します。
スイングがキレイに見える
ハンドファーストは、アドレスやクラブ軌道、体重移動など他の要因が重ならないと成立しない動きです。
下半身主導のスイングになるため、スイングの見た目がキレイに見えます。
ハンドファーストの形を誤解するケース
手先だけの形をマネしても、正しいハンドファーストのインパクトになりません。
手先だけのなんちゃってハンドファーストにならないように注意しましょう。
アドレスを構えた状態から、手元だけターゲット方向に向ける
手先だけのハンドファーストになっても、クラブフェイスが開くので力強い球を打つことができません。
手元だけのハンドファーストはボールが右に飛んだり、シャンクしたりなどミスショットにつながります。
仮にフェイスがスクエアになって打てても、力が入らず飛距離が出ません。
過剰なハンドファーストは、ボールに届かない
手元がターゲット方向に過剰に出ている場合、インパクトまでボールにクラブヘッドが届きません。
無理にヘッドを届かしても、上体が突っ込むか手だけで操作するのでミスショットを誘発します。
手首を固定しすぎる
手首を固めてインパクトしても、スイングスピードが上がりません。
左手首の掌屈や右手首の背屈はトップの切り返しにできる手首の動きです。
その手首は自然にできる現象であり、意図的に作るものではありません。
手首や前腕は特に力みを取りましょう。どうしても力が入ってしまう場合、目一杯力んでから脱力をすると力みが取れるかもしれません。
力みがあると、かえって手首がほどけやすくスムーズにスイングできません。
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手元と体が同時にインパクトに向けて突っ込む
手元と体がインパクトに向けて突っ込むときは、クラブと体の引っ張り合いができていない状態。
当然上体が突っ込み、スイング軌道はアウトサイドインです。
スイングは左回転するので、引っ掛けやチーピンのようにボールが左に飛び、巻き込みの出球です。
インパクトでは前傾姿勢をキープし、右脇腹の側屈(サイドベンド)を意識しながら左に回転します。
上体がターゲット方向に流れないように注意しましょう。
正しいハンドファーストを作る条件
後述で説明する動作が欠けていると正しいハンドファーストのインパクトになりません。
正しいハンドファーストをマスターすると、ゴルフが劇的に上達します。
アドレスに注意
アドレスのときにアイアンは若干ハンドファーストに構えます。
左腕とクラブシャフトが一直線になりアルファベット小文字の「y」の字の状態です。
テイクバックで上げたトップの位置より下の軌道でクラブが下りてくる
スイング軌道の切り返しで、クラブヘッドはインサイドからインパクトに向かいます。
バックスイングのトップ位置より下側の軌道からクラブが下りてくる必要があります。
上半身や腕の力が抜けていれば、テイクバックの切り返しで、クラブヘッドの重さでヘッドが背中側にループしながら下りてきます。
トップのクラブが上がった位置より、上からヘッドがくる場合、正しいスイング軌道ではありません。
右手首の角度をインパクトまでキープする
グリップや手首、上半身の力を抜きます。切り返しからインパクトまで、徐々に手首の角度がほどけます。
しかしインパクト直後までは、右手とクラブの角度を崩さないイメージでスイングします。
体全体でボールを押し込むイメージでインパクトする
手先でインパクトを作るのではなく、体全体でインパクトを作りクラブヘッドを押し込むようにします。
インパクトでは左腕とクラブシャフトが一直線に近い形です。インパクトでフェイスが開かないように注意します。
左手の甲がターゲット方向を指すようにしましょう。
前傾姿勢をキープしインパクトで腰を左側に回す
左に体重を乗せインパクトまで前傾姿勢が浮かないようにします。
インパクト直後も左回転し、右足を蹴り上げます。
左回転できず体を止めた場合、手を使ってクラブをリリースして打つしかありません。
手元よりもヘッドがボールに向かうハンドレートになるため、バックスイングでためたパワーをボールに伝達できません。
ハンドファーストは手先だけで作れません。リリースとはスイング中に作った手首の角度をほどくこと。
スイング中でリリースポイントが早いとハンドレートのインパクトです。似たような動きにキャスティングやフリップがあります。
キャスティングとフリップ
- キャスティング(ダウンスイング付近で手首が伸び手元よりヘッドが先行する)
- フリップ(左手首が甲側に折れる)
ハンドファーストを習得するときの注意点
ハンドファーストのインパクトをマスターするには、さまざまな注意点があります。
後述では特に気をつけたい注意点をピックアップしました。
ハンドファーストの形は意図的に作るものではなく、あくまでも現象で自然な形です。
正しいスイングをしたらインパクトがハンドファーストになるのが理想。
ダウンスイング(切り返し)でクラブが上から下りる
スイングのトップから力んで右手でクラブを押す動作が入ったり、クラブをかついだりするゴルファーがいます。
トップ位置より切り返しで、上からクラブが下りてくるとアウトサイドインの軌道です。
手先だけでクラブを下ろすため、ハンドファーストのインパクトにはなりません。
トップからの切り返しで左手首が掌屈になることもポイント。
ハンドファーストを意識しすぎて力みすぎてしまう
グリッププレッシャーが強いとクラブをしならせることができません。
クラブに遠心力を与えてスイングのトップから切り返しでシャローアウトしクラブの開閉を感じます。
クラブヘッドが遅れることでグリップとヘッドのラグが発生。インサイド軌道から左回転しクラブを引き続けると、インパクトでフェイスが勝手に閉じて戻ってきます。
腕やグリップで力むとクラブの重さやしなり、たわみを感じません。力みは前傾が浮いたり、体の回転が止まったりする手打ちの原因です。
クラブに仕事をさせるために力まないようにします。クラブヘッドが行きたい方向にいかせ、体がクラブの動きを阻害しないようにします。
シャローアウトとは?
トップから切り返すときに、シャフトを若干寝かせてインサイドからクラブを振ることです。シャローアウトはインパクトの入射角を鈍角にし、飛距離や方向性を向上させる効果があります。
左に体重が乗った状態でインパクトできない
ハンドファーストでインパクトするには、左足体重が必須。左に体重が乗らないと、手先だけの手打ち状態です。
ボールを打つインパクトで上体が突っ込んだり、左腰が浮いたりしないように注意します。
ボールを打ち終わるまで前傾姿勢をキープするのは当然です。
スイングのインパクト直前で左腰が右腰より高い場合はハンドファーストになりません。インパクト時に左腰が高ければ、左回転できず手でスイングするしかないありません。
フェイスをねじって閉じる(シャフトにトルクをかける)
切り返しでクラブフェイスが上を向く感覚が気持ち悪く、手を使って操作するのはハンドレートの動きです。
左手首は掌屈、右手首は背屈の状態を、インパクト直後までキープするイメージ。
クラブをねじってフェイスをシャットにすることで、ラグで発生したローテーションの動きと相殺させます。
インパクトでクラブフェイスがスクエアになるようにフェイスをコントロールします。
クラブフェイスは、何もしないと開きやすいのがクラブの偏重心特性です。
ハンドファーストをマスターするための4つの練習ドリル
ハンドファーストをマスターするドリルは、丁寧に確認しながら行います。
スピードでごまかさないようポイントを注意しながら行いましょう。
インパクトの形を作ってから回転して打つ
最初にハンドファーストのインパクトの状態を作ってからバックスイングをして打ちます。
ハンドファーストの形はインパクトで手元がクラブヘッドより先行する、クラブフェイスがスクエアで左足体重、体全体でボールを押し込み腰が左に開きます。
ハンドファーストの形を崩さないようにし、回転してバックスイングしそのまま打ちます。5割程度の力感でスイングしますが、ハンドファーストのインパクトの形を反復練習でインプットさせます。
ロフト角を立てて低い球を打つ練習
アプローチウェッジなどのロフト角の寝てるクラブを使用します。
出球が高くなりやすいクラブを使い、ロフトを立てて低い球を打つ練習をします。
ハンドファーストの形になっていないと低い出球のボールを打つことができません。ハーフスイング以下の振り幅で、20~50ヤードを目安に低い球を打つ練習をします。
トラブルショットで林に打ち込み低い弾道で脱出するときにも使います。
転がしのアプローチでも頻繁に使うので普段から練習する必要があります。
2本のクラブを持ってハーフスイング
アプローチウェッジとピッチングウェッジを用意します。
2本のクラブをグリップとクラブヘッドのシャフトの先端部分をつなぎ合わせてグリップします。
ハンドファーストになっていれば、体の側を通るクラブが左脇腹に接触しません。
スイングしてフォローでグリップのエンド部分が、左脇腹に当たったり刺さったりしたらハンドファーストができていない証拠。
素振りに慣れたら、ハーフスイングで実際にボールを打ってみます。
アライメントスティックを持っているゴルファーは、それを使用します。2本重なる部分がクラブより細いため、アライメントスティックのほうがグリップを握りやすく、このドリルに最適です。
アプローチでもハンドファーストの動きが基本になるため、日頃から練習する必要があります。
小さい振り幅のスイングからハンドファーストができたら、徐々にハーフスイングに移行します。
インパクトバッグを使った練習
練習場に通わなくても自宅でできる練習です。
ゴルフ練習器具でインパクトバッグがあります。
専用のものがない方は、使用していない大きめのバッグに不要な衣類や布製のものを詰めて自家製インパクトバッグです。クラブヘッドでたたいてもクラブにキズがつかないか確認しましょう。
実際のクラブを使いインパクトバッグをたたきます。
ボールよりも狙う的が大きいため、ボールに当てる意識か消え、ゴルフクラブを振るスイングが身につきます。
インパクトバッグをたたくことで、クラブを通じて体でモノを押し込む感覚が自然とできるようになります。
インパクトバッグを使用する目的は、インパクトでエネルギー効率をどうやって上げるかです。
ただ闇雲に力一杯ぶったたいても意味がありません。
手首の角度や前傾姿勢などに注意し、小さなスイングからハーフスイングを繰り返し練習します。
自宅で練習するときは、部屋の壁が陥没することがないように周囲に気をつけましょう。
まとめ
野球やテニスなどの他のスポーツ経験者で、自然にハンドファーストのインパクトができる方がいます。
しかし正しいハンドファーストのインパクトができるゴルファーは上級者やプロゴルファーだけです。
近年ではゴルフのスイングが科学的に解析され、定量的なデータ化が進んでいます。
効率的なスイングを目ざすために、ハンドファーストのインパクトをマスターすることは不可欠。
ハンドファーストを身につけるには、地道な練習と時間がかかります。
練習ドリルを反復して、徐々に自分のスイング精度を向上させましょう。